こどもの近視進行予防は可能?①

こんにちは、院長の藤井です。

日本眼科学会誌10月号の巻頭言に、学童の近視進行予防についての総説らしきものが載っていたので、今回は近視の進行予防は可能なのか?についてお話したいと思います。



時々、「訓練で近視は治る!」とか「簡単なトレーニングで近視進行予防!」と広告がのったりします。


でも、あれはほとんどの場合「誇大広告」です。


そもそも近視がなぜ生じるかというと、ほとんどの場合は「軸性近視」、つまり眼軸(眼球の奥行き=長さ)が伸びることによって生じます。


一度伸びた身長を小さくすることができないのと同じように、眼球が一度伸びてしまうともとにもどりません。


近視=眼軸が伸びた状態、に対する目の代償能力としては「毛様体筋」があります。


毛様体筋はピントをあわせる役目を担うため、理論的にはこの筋肉を鍛えることで、軽い近視であれば、治ったようにすることが可能です。
(目の筋トレみたいなものですね)


ですので「訓練で近視が治る!」というのは「訓練で(ごく軽い)近視が治る!(でもトレーニングを怠ったり、年をとって筋肉が弱ればもとの近視にもどります)」ということなのです。


また、近視進行予防については、これまで様々な研究がされてきていますが、残念ながら確実なものはこれまででてきていません。
(アトロピンという点眼薬を薄めたもので近視抑制効果があったとする論文はありますが、調節力が麻痺してしまうため、実用的ではありません)


累進屈折眼鏡を使った研究も行われましたが、芳しい効果はでていません。


ですので、「訓練で近視進行予防!」も、誇大広告または研究的な裏付けがあるものではないと言えます。


こういった「ビジネス」には眼科医が関与していることもあり、同じ眼科医として嘆かわしいことだと思っています。


もちろん、本当に近視は治る、進行予防可能との信念があるのであれば、学術論文として示していただければ多くの眼科医にとっても朗報ですので、とても喜ばしいことなのですが、これまでそういう報告はないのが実情です。


ですので、安易に「近視ビジネス」を信じないようにしてくださいね。


たいていは高額な料金をとられる、またはズルズルと訓練を続けさせられることになってしまいます。



さて、次回は日本眼科学会誌に記載されてあった、現在有望と思われる近視予防法についてお話しますね。



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